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企業と新たな“契約”をする時、特に“スポット契約”に際して、後から『見積もりが甘かった(安く提示し過ぎた)』と後悔することがあります。顧問契約でも、業務を始めてみて、あまりに“手間”がかかり過ぎ、“値上げ”を試みたくなる時があるでしょう。
そのような事態に陥らないよう、“契約料の見積もり”に際し、どんなことに注意すればよいのでしょうか。
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【01】 安いから質が悪い? |
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先日、ある士業事務所から『お宅の情報は(他と比較して)安いねえ。質が心配だ』という電話をいただいたそうです。弊社の情報発信型営業サポート経験は、もはや20年を越えようとしているのですが、他と比較されるほど“同業者”が生まれたのは、大変喜ばしいことです。
ただし、実は、この士業事務所からいただいたコメントの中に、士業サービスの価格に関する“問題”のほとんどが含まれていると言えそうなのです。いったいそれは何なのでしょうか。もちろん、情報サービスの価格云々ではありません。専門業である士業事務所の料金設定問題です。
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【02】 買い手と売り手の間の“評価”のギャップ |
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価格に関する問題のほとんどは、“質が高い仕事は料金が高い”という“概念”から生まれます。ところが“質”の認識は、しばしば主観的です。売り手も買い手も、自分の価値観で判断するということです。従いまして、そこには常に、サービスの提供者と受容者の間に“認識のギャップ”が生じてしまうのです。そして、ここに問題のタネがあるということです。
サービスの提供者たる先生方は、時に『ここまでやっているのに…』、『初期契約以上のサービスをしているのに…』と感じることがあるでしょう。あるいは『企業の経営者や担当者のレベルが低いため、通常以上の時間がかかった』と嘆くことがあります。
しかし、しばしば、それは“支払い手”である関与先企業にとっては、どうでも良いこと、あるいは考えもしないことかも知れないのです。価格問題に関しては、まず“この理解”が大事です。
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【03】 一見合理的に見えてしまう幻想 |
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つまり、安い顧問料やスポット契約料で、価格以上のサービスをしたら、顧客満足度は上がるというのは幻想に過ぎないということです。極論すれば、特に専門性が高いサービスでは、“一生懸命やれば評価される”という思いさえ、幻想に過ぎないかも知れません。
やや極論ではありますが、普通、ユーザーには“専門業の質”は理解できないからです。
結論を急ぐなら、『価格をできるだけ下げよう』、『料金を決めたら、できるだけ奉仕しよう』という先生方の思いは、あまり関与先には“届かない”ということです。まず、この基本認識が重要です。
『いや、顧問料の値下げ欲求はある』と言われるかも知れません。しかし、そこには実は“別の要素”があると言えるのです。
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【04】 顧客の値下げ要求の背後にあるもの |
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“別の要素”とは、一口に言うなら、先生方の顧問料値下げを云々する企業のほとんどが、取引先から理不尽な値下げを要求されているのではないかということです。つまり、その関与先は、自分がされたことを先生方にしていることになります。そんな子供じみた話…、と言われるかも知れませんが、関与先は先生方がうらやましいのかも知れません。
そして、自分たちの“価格競争の苦労”を分かって欲しくなり、先生方に値切ってみるわけです。学校で嫌なことがあると、家に帰って親や兄弟にあたる“子供”と、基本的は同じです。そのため、話をよく聞いて、顧客の状況に深い理解を示すと、それで納得して、それ以上値下げ欲求をしなくなる“クライアント”は、決して少なくないものです。 |
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【05】 価格交渉を失敗に導く“臆病”の源 |
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やや話題が脱線しましたが、“顧客満足はいかに質の高い仕事を安く提供するかにある”と、教科書的に考えてしまうと、ほとんど常に“見積もり”に失敗するでしょう。あるいは“見積もり”には成功しても、質の高さと価格の安さをアピールしなければならないと考えてしまうため、契約した価格以上に“やり過ぎ”てしまい、結局『ああ、もっと高く見積もればよかった』という気分になります。
“質は高く価格は安く”という、一見立派な経済原則は、私たちの気持ちの中に、“自分宛のプレッシャー”を生み、活動自体を臆病にしてしまうのです。時には、『こんな高くて大丈夫か…』と感じてしまう、そんな臆病が、また、関与先に“付けいるスキ”を与えて、悪循環を招くかも知れません。
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【06】 強気になれる“思考”をしよう! |
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逆に“顧客満足は、顧客自身がいかに理解されたと感じるかで決まる”と考えてみてください。先ほどお話しした、“価格競争の苦労に共感されたら顧問料の値下げを主張しなくなった”経営者の例のように、『自分は分かってもらっている』と経営者や担当者が感じることが“満足”の源だと、改めて意識し直してみるわけです。
これは事実そうなのですが、もし事実でないとしても、顧客満足が“顧客の理解された感にある”と考えておくと、顧客をよく観察するようになると思います。やみくもに、自分が“質が高い”と自負するサービスをぶつけるのではなく、まず顧客の事情や理解度を“観察”する習慣がつくということです。
『なんだ、そんなことか』と思われるかも知れませんが、安いフィーで苦労をしている経営コンサルタントのほとんどは、自分の質やノウハウばかりを見て、顧客を観察できていないのです。
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【07】 目を“自分”から“相手”に向ける 〜 人生そのものとビジネスは正反対! |
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士業先生もそうかも知れません。先生方が“自分がどう見られるか”を気にしても、経営者や担当者は、案外先生を見ず、“自分のことしか見ていない”ケースも多いでしょう。“先生”なのですから、生徒が自分自身を見る側に立って、生徒自身を見ていれば良いのだと思います。優秀な生徒でない限り、先生のことなど眼中にありません。
これは言ってはいけないことなのかも知れませんが、精神性自体が問題になる人生そのものとは真逆で、まさにビジネスでは、自分を見た方が負けなのです。
今後、見積もりをする時、あるいは価格設定をする時、ぜひ“自分がどう思われるか”ではなく、“この人はどんな人なのだろう”と、一方的に観察してみたください。時には、精神性のためにはマイナスですが、『ああ、この人は質や価値が分からないから、値段を高くして“うちはハイレベルですから”と言ってみよう』などとさえ感じる時があるはずです。
ビジネスは心の働きとは逆のもので、それゆえ、いそしみ過ぎると“多忙”、つまり“多く心が亡ぶ”のだろうと思います。ただし、“心”にも“忙”にも偏り過ぎず、バランスを保つためには、以上のような“認識”も、役に立つかも知れません。
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【08】 次回は同じテーマで“技術論”に取り組もう! |
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『見られている』という思いは、“見積もり時の弱気”や“サービス提供時の臆病”を生み、自分が考えているよりも安い価格を提示し、自分が予定しているより多くのサービスを提供しがちになります。そのために“後悔”が尽きないのでしょう。 逆に“自分がどう見られていても関係ない”と思って、相手を観察すれば、自然に強気になれます。
『そんな“姿勢”論で良いのか?』と言われるかも知れませんが、今、士業先生やコンサルタントに欠けているのは、ノウハウよりもむしろ“姿勢”の弱さだと感じています。それが良いにしろ悪いにしろ、“価格”には、そんな姿勢的効果が大きく影響するのです。
ただし、もちろん“価格設定の技術論”もありますから、次回は、客観的に“価格問題”を考えてみましょう。 |
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