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いわゆる“長期展望”を描くには、最低限2つの視点を定めきれていなければなりません。その1つは“そのビジネスは老いているか若いか”で、もう1つは“既に高度化(完成)してしまっているか否か”です。
一見、2つの視点は同じようにも感じ得ますが、実践上は“かなり”違います。また、どこから眺めるか(見地)によっても、大きく姿を変えるのです。そのため、一般には“将来展望に乏しい”とされるビジネスにも、時として“予想外”の大きさの“未来”が待ち構えていることに気付くことがあるわけです。
さて、会計事務所や社会保険労務士事務所などの士業ビジネスは“どう”なのでしょうか。
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【01】 “老若”判定 |
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会計事務所業界と社会保険労務士事務所業界とでは、“歴史”が異なりますから、一概に“士業”全体の“老若”を語ることはできないと言われるかも知れません。しかし、多少の“差”に目をつむるなら、両業界とも既に“老”だと言えるのではないでしょうか。
もちろん、先生方が“高齢化”していると言っているのではありません。ビジネスとして、このまま“次々”に可能性を生みだしてくれるほど、業界に“潜在的創造パワー”はないだろうと申し上げているわけです。
ただし、それは“士業=国家資格さえ取れば仕事が与えられるビジネス”という“見地”に立った場合の“老若”判定です。
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【02】 なぜ“老”なのか? |
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では、どのように“老”なのでしょうか。それは、市場が広がらないというだけではなく、会計事務所業界は“パソコン・システム”に、社会保険労務士事務所は“弁護士の進出”に、最も“実りの多い”部分を奪われつつあるからです。
これについては、あえて詳細には申しませんが、このまま進むと、会計事務所は“パソコンを使う企業”と“メールや電話で相談を受ける税務署や国税庁”の間で、どんどんと存在感を失うかも知れません。一方、社会保険労務士事務所は、弁護士事務所の法律相談パワーの下で、“手続き作業部分を引き受ける”仕事に留まる懸念もないとは言えないでしょう。
『否、将来は希望に満ちている』と反論できるでしょうか。もちろんできなくはありません。
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【03】 “こんなもの”と決めつけてしまえば… |
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しかし士業先生方には、従来から“定まった仕事領域”から一歩外へ踏み出そうとされる方々が、まだ少ないように感じています。以前からある“士業ビジネス・イメージ”の中で、『士業はこんなものだ』と決めつけてしまっている部分が多いということです。今や、こう言ってよければ“圧倒的な歴史を持つ農業”でさえ変わろうとしているのに、士業界はどうなっているのでしょうか。
つまり、“士業=国家資格さえ取れば仕事が与えられるビジネス”で、その仕事は“こんなものだ”と決めつけている限り、将来性を語るのは無理だという意味で、業界全体が“老”なのではないかとご指摘したいわけです。
ただ、もう1つの“高度化(完成度)”の視点からは、別の“香り”がして来ます。
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【04】 別の“香り”? |
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もちろん『士業が“する”ことはコレコレだ』と決め込んだ展開をする際、そこで決め込まれた内容は、非常に完成度が高く、その意味で高度化しているはずです。しかし、『では、その高度化された内容の“何”が、顧客たる企業経営者や企業組織に伝わっているか』と考えてみると、完成や高度というニュアンスが似合わない部分が非常に多いように思えるのです。
『それは経営者のレベルが低いから…』かも知れません。しかし、文字を読めない人がいる社会の“責任”が、文字を読めない人ではなく、文字を“教えなかった”層にあるように、本当に経営者のレベルが低いなら、必ずしも経営者に“その責任”があるとは言えないはずなのです。
ここに“別の香り”の源があるのです。それは、非常にシンプルに言ってしまうなら、『もし経営者が新しい文字に興味を持てば、それを教える士業にも、新しい可能性が生まれるのではないか』というものです。 もちろん、士業先生が“実践的な意味で教える状況に立つ”のでなければならないのですが…。
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【05】 企業経営者に視点を移してみると… |
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ただ、ご批判覚悟で言うなら…、と言うより、もはや既に、あちこちで申し上げてしまっていることですが、従来、中堅中小企業には、必ずしも“必要”ではなかったことがあります。それは、実に“経営”なのです。これまでの中堅中小企業は、仕事を取って来る大将と、大将に従って黙々と働く従業員がいれば成り立ったとも言えるのです。
そのため『私は頭(経営力)は使わない。しかし足腰(仕事獲得力)は強くてね』と自慢する経営者の、何と多かったことでしょう。確かに、下手に頭(経営力)を使いたがる経営者は、中堅中小企業の“仕事獲得競争”に破れ去ることが多かったはずなのです。
そして『我々の世界に理屈は似合わない』という豪語が聞こえる文化が定着しました。 |
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【06】 外部から“育てられ”なくなった! |
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ところが、今では『分捕りに成功した仕事がコスト倒れ(収入よりコストが多い)で、損を出す素になってしまう』とか、『黙々と働かなくなった従業員が怖くて経営者の方が大人しくしている』という状況に至ります。その要因は様々なのでしょうが、筆者にとって印象的なのは、『中堅中小企業を育てておかないと、後で自分たちが苦労する』という大企業意識が薄くなったからだと言う気がします。
今や中堅中小企業の“仕事”は海外に出せるし、そうでない分野では、大企業自体がなりふり構わず“刈り入れる(進出する)”領域になってしまっています。中堅中小企業の育成は、もはや“外部”からは行われていないのです。もちろん、例外もまだ残っているでしょうが…。
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【07】 未成熟な分野の成熟しようとするエネルギー |
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そのため、ある大企業の担当者が『おい、おい、あのおっさん(中堅中小企業経営者)、この条件でやるってよ。信じらんないよ!』などと軽口を叩く一方で、『働いても働いても利益が出ない。なぜなんだ?』と叫ぶ企業経営者が増えるわけです。 当然、そのしわ寄せは、中堅中小企業の“従業員”に向かいます。
さて、その中で“何ができるか”と考えるなら、そこは非常に“若い”世界かも知れないのです。完成度の低い、ある意味で“未熟”な世界です。“未熟”な世界には、必ず“成熟しよう”という目に見えない意志が、意識されるとされないとに関わらず存在しているはずです。そして“成熟したい”と願う部分に“将来性の芽”が残されているのです。
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【08】 中堅中小企業に何ができる? |
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『中堅中小企業に何ができるか…』と感じられるかも知れません。しかし、エネルギーを足腰に集中していた人が、その一部を“頭”に向けると、様変わりにもなり得るのではないでしょうか。様変わりにならないのは、“足腰の運動を一切止めて頭に集中させようとする”から、つまりどん帳な“理屈”を経営論と称して押しつけるからでしょう。大切なのは頭に向けるエネルギーは“一部”で良いということです。
そして、その“一部”の選び方に、非常に重要な“秘密”があると言えるのです。
顧客が抱える“未熟”さを、単にレベルの低さだとは捉えず、将来性がある未熟さだと受け留めるなら、“士業ビジネス”に将来性がないなどとは考えられなくなるでしょう。それでも『いやあ、難しい』と感じるなら、“士業事業=顧問契約”という既成概念から抜け出せないからではないかと思います。
正確に言うなら、“顧問契約”自体が悪いのではありません。士業ビジネスに“このサービスをいくらで売る”というビジネス感覚が持ち込まれていないために、新しい可能性が“見えない”のだと申し上げているだけです。
“コレコレをするから顧問料はいくらだよ”と言えるなら、少し可能性に近づいたことになるでしょう。
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【09】 では、どのように…? |
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ただし『毎月訪問するから顧問料はいくら』というのでは、サービスを特定したことにはなりません。訪問して“何をするか”が明確でなければ、顧客の期待度も上がらないだけではなく、先生方も“顧問料の範囲で何をさせられるか分からない”状況に陥るからです。
発想を変えなければ生き残れないと、問題を抱える方向で考えるのではなく、発想を変えれば将来が開けると、“可能性”を抱える思考形態に、士業も移行して行くべき時期なのではないでしょうか。
では“どのように…?”、それは会計事務所と社会保険労務士事務所とで異なりますから、業界を分けて次回考えることといたしましょう。
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