社会保険労務士、社労士、マーケティング、コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

社会保険労務士事務所、社労士事務所、マーケティング、コンサルティング、小さなヒント

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.052】昨今の情勢下で士業が企業と共に“発展”を継続する道
             

  “企業の支援”とか“経営者サポート”とか、あるいは“経営指導”など、様々な言葉が使われますが、そもそも“士業”の“仕事”とは何なのでしょうか。今、そんな“驚くほど根源的”な事柄を問い直すべき時期なのかも知れません。
  なぜなら“経営の役に立とう”と考えれば考えるほど、ただ『自分の事業メリットを保ちたい』としか考えないかのような“経営者”に“利用”されるように感じてしまうからです。特に、困っている経営者に“お願い”されてしまうと、“ボランティア的業務”でも断ることに“罪悪感”を抱くことさえあります。
  たとえそうでなくとも、だんだん、提案自体が“弱気”になってしまう…、そのため今、“目先の状況”に必要以上に惑わされないために、発想の“原点戻り”が急務になっていると言えそうなのです。


             
   
    【01】 雇われ“収穫”者がよく口にする“正論”
   
        ある大企業の“営業部門”の“業務改善指導”に入った際、営業担当者から『うちは、内部業務が多くて、資料や種類の作成ばかりをさせられる。そのため、営業に使うべき貴重な時間が奪われる』と言われました。非常によく聞く“言葉”です。そして、単にこれだけを聞くと、『なるほどそうだ』と騙されてしまいやすい言葉でもあるのです。
  なぜ“騙される”と言えるのでしょうか。それは、その営業マンが“一切内部業務をせず”に、自力で単独行動をとるなら、今以上に“何も売れない”だろうからです。しばしば、あまり優秀ではない営業マンは、自分の行動で営業成果を挙げているかのように錯覚しがちですが、多くの従業員は本来、誰かが植えて育ててくれた田の稲を刈り取りに行くだけの“雇われ収穫者”と、あまり変わらないとも言えるのです。
       
   
    【02】 “外”で活動する前に勝負が決まっていると思えるほどの準備?
   
        そのため“雇われ収穫者”たる従業員には、田を耕して稲を育てた経営陣と、入念なコミュニケーションをとるとともに、十分正確に“指示を受け取る”ことが欠かせません。一切の内部業務をせず、鉄砲玉のように飛び出しても、どこに自社の“田んぼ”があるのかさえ知らないなら、いかなる成果もあげられないからです。
  血気盛んなこと自体は、決して悪くはありませんが、何事も“出掛ける時”にはすでに勝負が決まっていると感じ取れるほどの“準備”が必要なのです。もちろん、最後の活動で失敗すると、全てが元も子もなくなる危険は消えないのですが…。
  ただ、たとえば“戦争”でも、やはり“最終的に勝つ”国は“兵士が文句を言う”ほど準備をするし、入念に兵士の訓練を重ねます。多分兵士は『うちは、うんざりするほど訓練ばかりさせられる。はやく実戦に出たい』と言っているでしょう。逆に、血気盛んな現場の兵士の“勇み足”に任せている国は、最初は好調でも、すぐに息切れしてしまうはずです。
  そして、今、特に中堅中小企業経営者が、この現実、つまり“外で活動する前に勝負が決まっていると思えるほどの準備”の重要性に気付くべきなのです。もちろん、理由は、“今まで、そうして来なかったから、今、息切れしているのだ”と言えるからです。
       
   
    【03】 マネジメントの“本姿”とは?
   
        ただ、“外で活動する前に勝負が決まっていると思えるほどの準備”をもっと簡単な言葉に置き換えられないでしょうか。もちろん置き換えられます。それが“マネジメント”だからです。“とりあえずやってみる”、“考える前に動く”、“体育会系に徹する”というのは、周囲に豊かに天然の作物があった時代、つまり“経済成長時代”に適した姿勢でしょう
  今、じっくりと自分の事業や顧客(田んぼ)を育てて行かなければならない時に、こう言ってよければ、無益な場所を“ほっつき歩いて”いたのでは、肝心の“田んぼ”の作物が枯れてしまうのです。しかし、この“頭では常識とさえ言える”こと、すなわち“マネジメントの重要性”は、ハートの深いところで“実感”するのが、想像以上に難しいのが現実かも知れません。
       
   
    【04】 頭で“分かる”だけでは実現しないこと
   
        たとえば、従業員を大事にして、しっかり教育しなければ、顧客対応の質が下がり、それが事業成果を下げると“頭”では分かっていても、従業員関連の“支払い”はムダに見え、従業員教育は無益に見えてしまう時があります。“売る”あるいは“契約する”という直接的な行動以前の、“準備をする”という間接的な活動は、経営者や従業員に“かなり高いマネジメント意識”を要求すると言えるかも知れません。
  では、そんな“高い意識”は、どのようにすれば獲得できるのでしょうか。“(秦の)始皇帝”という映画をご覧になった皆様は、始皇帝が側近に『先祖代々の志をお忘れか?』と、何かにつけ“叫ばせていた”ことを思い出されるでしょう。国を統一するという“大業”は、驚くことに、何度も何度も“問い直さ”なければ、案外容易に忘れてしまうのです。
  しかし、なぜ、大事な“大業”を、いとも簡単に忘れてしまうのでしょうか。
       
   
    【05】 目前の“小事”が“大業”を忘れさせる!
   
        それは、次々に“目前”に“小事”ではあっても緊急を要する業務が立ち現れるからです。たとえば、従業員が労災に見舞われた時、誰でも『悠長に従業員教育などに取り組んでいる場合ではない』と感じるでしょう。そして、しばらく“教育”を休んでいる間に、その重要性を“忘れて”しまうのです。
  そのため、その時『社長、従業員こそが“戦力”であることをお忘れですかあ?!』と叫ぶ“側近的存在”が必要になります。経営者に、あたかも始皇帝のように、『いや忘れてはおらぬ。この業務を終えたら、すぐに大業の準備に取り組む』と言わせる“意識付け”が必要なのです。
  経営(マネジメント)は“大業”と同じで、目に見えません。しかも、成果とも“間接的”にしかつながっていませんから、営業マンを教育したからこそ出た業績さえも、営業マンの“個人的な手柄”にすり替えられてしまうことがあるのです。
  その時『それは、マネジメントの成果であるとお忘れかあ?!』と、再び語る“側近的存在”が、いるといないとでは、本当に大違いでしょう。
       
   
    【06】 “大業”を忘れた経営者が“士業先生”に無理を言う!
   
        市場が豊かだった頃には目立たなかった“意識の高低差”が、今、多くの中堅中小企業の経営にのしかかっています。しかも、マネジメントが“目に見えない”、“間接的なもの”であるため、目前の成果ばかりを焦ってしまう経営者には、問題も解決の糸口も“見えて来ない”という厳しさもあるのです。
  そのため、今、『ほら、目先の業務や事業内容ばかりではなく、マネジメントとその効果に目を向けようよ』という示唆が、益々重要になっているわけです。そうでなければ、兵士を訓練するべき時間に、自分単独で戦ってしまい、組織の力を生かせないどころか、身も心もすっかり疲弊させてしまう経営者が、必要以上に増えてしまうからです。
  そして、そんな“疲弊した経営者”は、先生方に“無理難題を迫る”ようにもなるでしょう。
       
   
    【07】 能力の成果よりも“能力の素”に目を向けるべき時
   
        つまり、今日のように、“目先の活動”が効果を生むものか破滅に向かうものかが即断できない環境では、経営者が“マネジメントに時間を割く”必要性を改めて実感させるとともに、マネジメントが必然的に伴う“業務”や“作業”を、無駄なことだと感じさせない“継続的な示唆”が不可欠なのです。
  その“直接的な事業成果ばかりに目を奪われないで、継続的に間接効果を出すマネジメント”を、まず“大事だ”と自覚させる“指導”が、今、何より重要だと申し上げたく思います。
  急いで、“どんなマネジメント”に取り組むかと考えると、“目先の成果”感覚につかまってしまい、今度は不要なマネジメントに取り組んでしまったり、必要なマネジメントに“不適切”に取り組んでしまったりして、大切な“マネジメント意識”が、獲得できなくなる恐れがあるからです。
  マネジメントは直接的に成果を出す道具と言うより、成果を出す“能力の素”を生み出す力だと言えるのかも知れません。
       
   
    【08】 士業が企業マネジメントの指導者たれるのか?
   
        “行動(能力の成果)”にはすぐに答が出ますが、“考え(能力の素)”にはなかなか分かりやすい答が出ません。だからこそ、そのための“指導者”が必要になるのです。そして、士業先生が企業経営の指導者になるために、まず、経営者に『今までのように、ただ動いていたのではダメだ。マネジメントのセンスを高めなければ…』と、何度も何度も思い起こさせなければならないのです。
  しかし、士業先生方の中には、『私には、マネジメント指導など、とてもとても…』と謙遜される方が少なくはないようなのです。ただ、先生方が当たり前のように有されている見識の中には、経営者が学ぶべき“マネジメント要素”が多様に含まれており、その“教え方”を工夫することで、まだまだ“指導チャンス”が広がると申し上げたく思います。
       
   
    【09】 新しいノウハウ不要の“取り組み”
   
        そのため、私どもの会では、士業業務のどの部分が、そのままの形、つまり新たなノウハウを導入しない形で“マネジメント性”に富むのか、そして、それをどのように経営者に伝えれば、経営者の姿勢を徐々にでも変えて行けるのかについて、毎月“月刊誌HM通信”を通じて“実践内容”を公開させていただいているわけです。
  それは、もっと“打算”的に言うなら、企業経営者に“士業業務の意味や価値”を分からせて、単に“公的機関への手続き業務の代行者”ではなく、“マネジメントの専門家”として尊重され、それ相応の“処遇”を受けるための研究でもあると言えるのかも知れません。
  今、企業も士業も、マネジメントに関する“先入観”を捨てて、長期的に戦える“ビジネス基盤”の形成に、もう一度心を砕くべき時に来ているのかも知れません。
       
     
詳細は、当会のご案内ビデオ『社会保険労務士事務所自体のビジネス機能強化法』の中で分かりやすく整理し直しました。以下のボタンから閲覧ページへお進みください。

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