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現状の“延長”上には、決してハッピーな状況が待ってはいない企業が、確かに増えているかも知れません。そして、先生方は、そんな企業の将来性を憂えて、何か支援が必要だとお感じになっているかも知れないと思います。あるいは、関与先をもっと将来性のある企業に変えたいと願うでしょうか。
しかし、そんな風に先行きを考える時、忘れてはならないことがあります。それを、関与先の企業が忘れるべきではないこと(1/2)と、先生方の事務所自身が忘れてはならないこと(2/2)の2回に分けて、ご一緒に考えてみたいと思います。 |
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【01】 どうして“やり方”を変えないのか…?! |
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外から見れば、将来性が非常に乏しい企業があります。しかも、経営者が少し考え方を変えるだけで、見い出せる将来性を無視する企業が少なくありません。そのため、傍目には『どうして、やり方を変えないのか』と、非常に素朴な疑問を持ちます。
あるいは、もっと積極的に“経営革新”を提言、提案するかも知れません。ところが、その時、非常に多くの経営者が言うのです。『今さら“やり方”を変えようとは思わない』と。そして、その言葉の裏には“新しいことをして苦労をするより、今のまま無難に行きたい”という感覚があるのです。
『そこがおかしいところだ!』と、確かに私たちは思います。 |
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【02】 沈み行く船に“助け舟”を出したのに… |
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なぜなら、それは沈もうとしている船に助け舟を出したのに、その船に乗る人に、『そんな危険なことはしたくない。自分の船の方が安心だ』と言われたのと同じだからです。資金繰り管理の方法や就業規則の“見直し”に応じない経営者は、なんとなく、その“船の人”に見えてしまいます。
その時、その“船の人”は何を考えているのでしょうか。もちろん、人にもよりますが、多くの場合、“自分の船が沈もうとしている”ことに気付いていないわけではないのです。自分の船の欠陥は、やはりどうしても、自分自身に分かってしまうのです。何せ、経営者なのですから…。
では、なぜ“助け舟”に乗り移ろうとはしないのでしょうか。 |
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【03】 乗り移ると“負け”が決まる! |
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それは、“乗り移って”しまうと、マイナス(負け、失敗、損失、不名誉など)が“確定”してしまうからです。まさに、助け船に乗り移って、自分の船が沈むところを見ると、自分の“これまでの人生の全て”が沈んで行くように感じてしまうことになります。
それに、“助け舟”も沈まないとは限りません。乗り移った後、その“助け舟”までも沈んだら、その人は、自分の船の経営失敗が確定するだけではなく、“乗り移りという新たな判断”までもが間違っていたことになります。それは何と、勇気のいる決断なのでしょうか。
経営の大革新ではなく、ちょっとした“経営改善”を考える時はなおさらです。自分の船が今にも沈むのでもなければ、新たな“決断”など、できようはずもないのです。 |
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【04】 経営者が改革に取り組めない時の心情 |
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先生方が“新たな決断”を経営者に勧める時には、ほとんどいつも、そんな“大そうな話”に直面してしまいます。沈み掛けの船に乗っていてさえ、『自分の船にいる方が無難だ』と感じるのが経営者の常だとしたら、必ずしも沈むとは思えない船の改良になど、取り組むはずもないわけです。
むしろ、改良のために持ち込んだ荷物が、船を不安定にしてしまうかも知れません。
そのため、いわゆる“ゆでガエル”現象が広がって行きます。“ゆでガエル”現象とは、食用ガエルを水から煮たら、徐々に温度が上がっているのに、逃げ出すチャンスを失って、ついには“ゆで上げられてしまう”という状況です。
それは“まだ大丈夫だ”と思って手を打たないでいるうちに、取り返しがつかない状況に追い込まれる経営者を“揶揄(やゆ)”する言葉に他なりません。 |
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【05】 “不活性”に陥った関与先からの不活性“伝染”危険 |
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ところが、ここに大きな問題が生まれます。もし、関与先が“ゆでガエル”集団なら、士業事務所はどうあるべきなのでしょうか。それでも、関与先に“改革”や“改善”を叫び続けるのでしょうか。誰も聞かず、誰も感謝しないのに、“改革提言者”であり続けるべきでしょうか。
そんな問いの中から、“ゆでガエル”士業事務所が形成されます。つまり、顧問料が取れるうちは、寝ている子である“ゆでガエル”を起こす必要はないと考えてしまうということです。そして徐々に、今の顧問先を守ることが“無難な道”に見えてしまいます。
そしてついに“関与先と一緒に沈みかけているよ”という言葉にも、反応できなくなるのです。先生方の周囲に、そんな事務所が少なくはないのではないでしょうか。 |
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【06】 漠然とした不安を具体的な問題にしてしまう! |
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では、どうすれば良いのでしょうか。具体的な対応策は多様なのでしょうが、本質的には“一つの道”しかないのかも知れません。その“一つの道”とは、“自分の船の徹底検証”です。“何となく感じる”不安や危機感を、具体的に一つ一つ確認して行くことです。漠然とした不安の中にいたのでは、息をすることすら大変ですが、問題が具体化すればするほど対策可能性が見え始めて、動く元気が生まれるからです。
社内の人材が高齢化して、組織の活力がなくなったと感じたら、何がどうなくなって、それがどんな問題を引き起こしているかを徹底的に考えます。あるいは、自社の収益力が低下したのが不安なら、その低下要因を徹底的に追究するのです。
マイナス感覚や不安を持つことにフタをせず、それを徹底検証する…、わけですが、確かにそれもまた、改革を断行するくらい、難しいことかも知れません。 |
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【07】 “事例の中に浮かぶ船”の効用! |
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しかし、1つ方法があります。それは“他者を見る”ことです。沈みかけた自分の船ではなく、堂々とまでは行かなくても浮いている船を見ることなのです。しかも“実在の船”なら、悔しくて直視できないかも知れませんが、“事例の中で浮かぶ架空の船”なら、目をそむける理由もないでしょう。
そして、力強く、あるいはそれなりに浮かんでいる船を“感じる”と、その比較から、徐々に“自分の船”が見えてくるでしょう。しかも、その“事例の中で浮かぶ船”が、自社とそんなに変わらないと気付けば、もっともっと“自分をチェック”したくなるかも知れません。チェックをすれば、経営者なのですから、改善へも自然に向かうでしょう。
改善に向かえないのは、問題を正確にチェックできないからであり、問題を正確にチェックできないのは、希望のイメージ(事例に浮かぶ船)が見えないからではないでしょうか。 |
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【08】 今こそ必要な“事例の船”を語るセミナー講師 |
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そのため、先生方には“事例の中で浮かぶ船”を、船の人(経営者)に伝え広めるような“セミナー講師”になっていただきたいと思うのです。『セミナー?、そんな労多く益が少ないものを…?』と言われるかも知れません。
しかし、セミナーは“発想”と“取り組み”を変えれば、決して“空しい”ものではありません。ただの宣伝手法でもないでしょう。その話は、次回に行うとして、まずは企業経営者が、“現実の成功企業を見て敗北感に打ちひしがれる”前に、“事例に浮かぶ船”を見て、『これなら自分にもできる』という勇気を提供するような“講演者”になっていただきたいと考えるわけです。
そのスタートとして、“どんなセミナーをするか”という内容や趣旨は“セミナーの作り方とサンプル・ストーリー”というCD講座に収めました。
“事例に浮かぶ船”から、自分の事業をチェックし、その具体的な問題と可能性が見つかるとするなら、先生方のビジネスを“自事務所らしいセミナー創造”という視点から点検すれば、先生方ご自身の“将来性”も、見えやすくなるはずだと感じないではいられないのです。
その可能性について、次回ご一緒に考えましょう。 |
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