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セミナー講師や講演を行っても、その後“経営者”や“紹介機関”などとの関係が深まらないという悩みは、まだまだ少なくないようです。それどころか、そもそも“講師”になること自体にイメージがわかない先生方もおられるかも知れません。
しかし、ある意味ではもっと深刻に、『講師をすればするほど、逆に先生としての“ポジション”を下げてしまう“セミナー”もある』のです。この際、“講師”として、本当のところは“何を語るべきか”について、原点に戻って考え直しておくのは“急務”の1つとなったようです。 |
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【01】 “説明”が主になりがちな先生方の講演 |
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士業先生の“セミナー”を拝見していると、もちろん全部が全部ではありませんが、大きな企業の“会議”を思い出すことがあります。つまり、たとえば“相続税対策のポイント”や“就業規則の作成法”が、企業内の“専門部署”からの説明のように語られることがあるということです。
たとえば、業績が苦しい企業に、“固定費削減”を検討しましょう!と勧め、その削減対象とすべき固定費を“列挙”するような場合が、それに当たるでしょう。あるいは、未払い残業代でトラブルを起こさないようにするための“残業規定”の話が、まさにそれなのです。
では、何がどう“それ”なのでしょうか。
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【02】 それは企業内会議での“説明者”の立場に似ている! |
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たとえば企業内の会議というのは、時々、諮問機関としての専門家を必要とします。たとえば、コスト削減に際し、何から着手するかが問題になった時、『削減対象の固定費はどれだ?』と、疑問が出ます。実際の疑問は、もっと大きく複雑ですが、ここでは小さな問題を想定しましょう。
そして“経理担当者”を呼び、“固定費”の確認と最近の増減状況を“確認”するでしょう。残業実態に関し、“総務担当者”を呼ぶ時も同様です。
問題は、“その次”です。つまり“経理担当者”や“総務担当者”を読んだ後、社内の経営陣の“会議”はどうなるかということです。
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【03】 “説明者”は経営者から“どう”扱われるか? |
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そこでは、おそらく『○○さん、ご苦労様でした。良く分かりました。後は結構ですので、ご退席ください』と言われるでしょう。つまり、その会議が重要であればあるほど、専門的見識の説明者は、いとも簡単に、こう言ってよければ“用済み”になるのです。なぜでしょうか。
それは、意思決定を行わなければならない経営陣にとって、専門見識は“単なる確認事項”に過ぎないからです。少なくとも、固定費の詳細や残業実態が分かったところで、“最終決定”に進む道は見えません。
それでも、よくできた経営者なら『○○さん、今後どうするか決めたら、まはお呼びします。その時は、専門的見地から、またご意見をください』と言うでしょう。経営者としての資質をうかがわせる人です。しかし、多くの場合は、その後無視されてしまうか、そうでなければ、どう考えても理不尽な“素人の策略”の“実行”を押し付けられてしまうかも知れません。
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【04】 セミナーの受講者も同様ではないだろうか… |
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イメージとして、そんなセミナーが多いのです。どんなセミナーでしょうか。それは、先生方が“今後の対策”を、学校の授業のように教えてしまって、『はいはい、後は自分たちで考えます』と、質の高い受講者に背を向けられる一方で、多くの受講者から『そんな教科書みたいなこと言われても、何の役に立つか…』と反感を持たれ、資質の低い受講者からは、セミナー後の無料相談会などで『うちの問題、何とかなりませんか』と食い下がられてしまうということです。
なぜ、こうなるのでしょうか。それは、先生方が“専門知識を知識として語る”からです。あるいは、今後取るべき方策、施策の“内容を解説”してしまうからです。それは、今後“士業の資格を得たい”という人には貴重な話でも、“士業になる”のではなく“経営する”、あるいは“資産を保全する”人にとっては、『まあ、勉強しておいて損はない』程度の価値しかないわけです。
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【05】 では、どうすればよいのか? |
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では、どうするか。それは“説明者”ではなく、“参謀”のポジションを意識することです。具体的に言うなら、ただ1つ“経営者や資産家に選択肢を与える”ことに集中するということです。
一般には、それがたとえ最高の参謀ではない場合でも、組織のトップは参謀を大事にします。大事にするだけではなく、なかなか放しません。それは、参謀が“専門見識”を持っているからではなく、“選択肢”を示してくれるからです。
痩せても枯れても、経営者は“意志決定者”です。しかし、意思決定者でありながら、“選択肢”作りが上手な人は、本当に稀なのです。意思決定者のほとんどは、評価しながら現実分析や策謀作りを行うため、まずは客観的に“選択肢”を作る、というステップを、うまく通れないでいるわけです。
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【06】 中堅中小企業の経営者が本当に“意思決定者”と言えるのか? |
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もちろん、何も決めない経営者もいるでしょう。意思決定者などと言うには“笑止千万”な人もいます。しかし、それは“選択しない”人ではなく、“選択してしまった”人に過ぎません。ただし“選択肢”を深く検討して決めたのではなく、『ああ、この人の言う通りにしよう』とか、『ああ、この内容をそのまま真似よう』と選択してしまったということです。
『先生の言う通りにしよう』と選択してもらったのなら、ありがたい話かも知れませんが、自分で考えない人に任されると、あとが大変です。しがみつかれ、無理を言われ、その後、先生の言うことが“理解”できなくなると、さっさと“別の人を探す”ようになるからです。 |
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【07】 経営“参謀”のポジションに立つ講師 |
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セミナーをした後で受講者に『後は結構、自分で、あるいは他でやるから…(まあ、一般論はそうだろうな。後は自分で考えなければならない。誰か、もっと具体的に教えてくれる人を探すのでもいいなあ)』と思わせないためには、先生方は“施策の解説者”ではなく、“経営判断の選択肢の提供者”でなければなりません。
もし、先生方が“選択肢の提供者”として語るなら、それがどんな語り方であれ、意思決定者としての経営者が最も欲しがる“参謀”のポジションに立つことになるわけです。もちろん、経営者にはそれぞれ“レベル”ないしは“個性”がありますから、自分の“レベル”や“個性”に合った参謀を選びます。そのため、万人に“受ける”参謀は存在しないと考えるべきでしょう。
しかし、だからこそ“セミナーで参謀のように話をする”なら、先生方にとって“好ましい”関与先との“深い出会い”が生まれる可能性が強いのです。
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【08】 問題が2つある… |
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ただ、問題が2つあります。1つは、中堅中小企業の経営者自身が、“選択肢”から選ぶという種類の“意思決定”に慣れているとは言えないことです。だからこそ、現在のような難しい経営環境の中で、選択肢も作れず、意思決定もできず、右往左往している経営者が多いのです。
誰かを頼るのではなく、見本を真似るのではなく、自分で判断しなければ先行きがないのが“淘汰の時代”の特徴だと分かってはいても、何をどう判断するべきか見当もつかないため、“最後に残った資金とエネルギー”を、ひたすら浪費してしまい、死期を早める企業も少なくありません。
それが今や“モザイク画”のように、日本経済を彩り始めたと言えるかも知れません。一部の成功者が出ても、モザイク画の一部しか輝かないなら、全容は変わりようがないでしょう。そして、もう1つの問題は、先生方のサイドにあるかも知れません。
その2つ目の問題と、これら2つの問題への対処法は、次回にご一緒に考えることにいたしましょう。
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