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株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.024】関係の形成:新たな“活路”を開く本来的意味での“真価”とは?(1)
             

  一般に、危難の時や危急の際には人や企業の“真価”が問われると言われます。普段は、何となくこの言葉を“当然”のように受けとめていますが、実際“真価”が問われるとは、いったいどういうことなのでしょうか。
  今、極めて現実的な発想をしなければ、前へ進めない恐れがありますし、自事務所に限らず、関与先企業の“真価”についても、深く考えるべき時にあるのかも知れません。


             
   
    【01】 今だからこそ考えるべきこと
   
        2011年3月11日に発生した東日本大震災で、直接間接に被災された皆様、あるいはご家族や関係者の方々が被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
  筆者も1995年1月17日に、阪神淡路大震災で震度7を経験しました。しかし、今回の地震は東京(震度5)でも数分間揺れが続くなど、1995年とは違った脅威と恐怖を感じざるを得ませんでした。しかも、その後しばらくの間、東北の知人数名の皆様となかなか連絡が取れず、暗澹たる日々を過ごしておりました。ただ、新聞やネットの記事では、関西や西日本が“普通”であることで、“温度差がある”という論調も出ているようですが、阪神淡路大震災では、まさに当時の西の私たちが、東の皆様との温度差を感じていたものです。
  そして、現在の筆者もまた、今回の震災に際し、被災者の皆様の現実の前では、軽々しい言葉では何も語れないと感じざるを得ません。しかし、そんな今だからこそ、そして今後、経済や財政的な影響が、徐々に日本全国に波及して行く懸念が強いからこそ、考えておかなければならないことがあるとも思えるのです。
       
   
    【02】 “真価”とは…
   
        まさに今、冒頭のコラムにお示ししたとおり“真価”が問われる状況の到来なのでしょう。そして、こんな時でさえ、“真価”という言葉が、流行語のように軽薄に使われてしまう傾向があるために、一時的な感覚に終わらせないための熟慮が求められるのかも知れません。
  さて、では危難に際して問われる時の“真価”とは、いったい何なのでしょうか。それは、今回の大震災に限らず、今後の震災や国家財政上の問題などに際し、私たちが“実践的な意味”で自らに問いかけるべき課題だと思います。
  そもそも“真価”とは、いったい何なのでしょうか。“真価”は、立派なものや優れたもの、あるいは宝などという意味では、決してないと思います。ただし、それは少なくとも、私たちの強烈とも言える“現実”そのものなのだと言えそうなのです。
       
   
    【03】 危難の時にも存在する“平素”
   
        数日前、ある保険代理店の経営者の方(会員)から、自らも被災地の真ん中に拠点を置きながら、まだ震災後数日しかたっていない時、『新規大口契約がとれました』と、メールを頂きました。地震発生の数日前に、その方とお会いしていましたので、筆者はそのメールに驚きませんでした。むしろ、そこに言葉本来の意味での“真価”を感じたからです。
  それは危急の時にあって、平素の営業を忘れなかったからではありません。その意味は、本当に悲惨な状況の中で“保険を語れた”ことにあるのです。士業先生も同じかも知れません。同じく、東北で避難生活を余儀なくされていた先生が、今『被災事業者でも、誰もが助成金を受け取れるわけではない』と、非常に強い“指導的立場”から、急増する企業相談を“処理”されています。
       
   
    【04】 どんな時にも“外に出せる”思い
   
        一口で言うなら、そして“実践的視点”で言うなら、どんな時でも、自分の責任として、あるいは自分自身の信念として“外に出せるもの”が“真価”なのではないでしょうか。逆に言うと、今自分自身が自粛していることは、それが何であれ、“真価”とは無縁のものだということです。
  たとえば、『こんな雰囲気の中では、新たな契約提案などできない』と感じるなら、それはまさに、ビジネスの“真価”の部分が『受け入れられたら(褒められたら)勧めよう、そうでなければ控えていよう』という姿勢に留まっていることになるかも知れません。自分のビジネスへの、本当の意味での自己評価が、そこに“あらわれている”と言えないでしょうか。
  もちろん控えること自体が悪いとは申しませんが、自らの“真価”を発揮している人に、遠慮の姿勢はありません。 なぜなのでしょう。
       
   
    【05】 何事にも遠慮しない“姿勢”の中に見える“真価”
   
        その理由は、もちろん『他者の役に立ちたい』と思っているからであり、『私の仕事は他者の役に立つ』という信念を持っているからです。実際、“信念”ほど“行動”を呼び起こすエネルギーは、他にないかも知れません。逆に、もし、自分は日ごろ“つまらない仕事”、“存在価値のない仕事”しかしていないと感じていたら、どんなに自分を鼓舞しても、危難の際の活動力は、決して生まれてはこないはずだと言えそうな気もするのです。
  つまり、“(環境に)成功させてもらう”、“(周囲に)元気をもらう”という、今風の流行発想ではなく、成功しようがすまいが、元気になろうがなるまいが、“自分にはやるべきことがある”と思える、その“やるべきこと”こそが“真価”に他ならないと申し上げているわけです。
       
   
    【06】 今までなかなか真価が発揮できなかったとしたら…
   
        その“真価”は、この震災が発生する前には、筆者が様々な場で“志”と呼び続けていたものと同質だと思います。成果という報酬があるから行うのではなく、“自分がやると決めたから実行する”という思い、つまり“志”が、危難の時には、その人の“真価”となって表に出るのでしょう。
  そのため今、2つの“観察”を行う必要があります。第1の観察は、災害時や経済の混乱期ばかりではなく、たとえば“顧客が露骨に反感を示してきたような時”にも、“自分は自分の本業に誇りが持てたかどうか”です。逆に“こんなことをしていて大丈夫だろうか”と不安になったかどうかを観察しても良いでしょう。そこに、まさに“本業と自分の関わりの真価”があらわれているからです。そして、その“真価”は、震災前にも現実に表れていたかも知れません。
  つまり、より積極的な活動ができなかったのは、自分が自分の本業の存在意義を“本当のところは評価していなかった”からかも知れないということです。たとえ、他者が絶賛する仕事に就いている人でも、この“自己評価”がなければ、深い迷いに沈み込んでしまうのです。
       
   
    【07】 不安な時に何をしてきたか?
   
        2つ目の観察は、“不安な時に自分は何をしてきたか”という“行為”自体が対象になります。今回の災害で不安を感じなかった皆様は、ぜひ、その他で不安に陥ったことを思い出してください。その時“自分は何をした”でしょうか。あるいは“何をしようとした”でしょうか。そして、それを実際に実行したでしょうか。それとも実行しなかったでしょうか。
  その観察の中には、必ず、“他者には言えない自分の本性”が見えてくるはずなのです。そして、その“本性”こそが、第1の観察、つまり“本業と自分の関わり”の出発点を作っているはずなのです。本来“本性”に良い悪いはないはずです。しかし、“本性”を認めず、それに蓋をしてしまう、つまり“本性との関わり方”に失敗してしまうと、 自分自身のあらゆる現実が“悪化”してしまいます。
  ただ、なぜこんな“とりとめがなく”も見える精神論を問題にするのでしょうか。
       
   
    【08】 本性を観察せずに進むと“ニセモノ”状況に陥りやすくなる…?
   
        それは、マーケティングの成果、あるいはコンサルティング的活動を行う際の“先生や提案者としての重み”が、まさに“本業と自分の関わりの中にある真価”に、非常に大きく左右されるからです。たとえば、本当のところは“自分の本業など取るに足りない”と心の底で感じているのに、次々にマーケティングやコンサルティングの“手法”ばかりを導入して行くと、その人の言葉や言動は、最初は徐々に、ある時点から急速に“軽薄”なものになってしまうということです。
  そしていずれ、何を話しても、相手には“嘘くさく”聞こえ、自分には“虚しく”響くようになるわけです。虚しさが続くと、誰かを攻撃したくなり、破壊的になります。今、そんな人が増えていないでしょうか。そして、業界全体の雰囲気を害していないでしょうか。“ニセモノ”とは、能力不足や偽りが生み出すのではなく、自分自身の“本性”との直面を、無理やり導入した“手法”等でごまかそうとする時に生み出す“負の成果”なのかも知れません。
  では、今何をどうすべきなのでしょうか。すでに強い自信に満ちて行動されている方々も、“更に一歩進んで顧客をコンサルティングする”という視点から、このテーマをご一緒に考えていただきたいのです。
  いずれにしましても、長期的な活動基盤の確立をもにらみながら、次回、業界別に考えてみたいと思います。
       
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