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株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.026】経営者指導:経営者と1対1の関係で“主導権”を握る方法?(1)
             

  “経営者は意識が低い”とか“基本的な見識がない”などと嘆く前に、考えるべきことがあります。それは、経営者の“意識”や“見識”を引き上げるのは、まさに“先生”の中心的役割だからです。
  しかし、それ以前に“経営者と1対1になった時に主導権を握れている気がしない”とすれば、それは大きな問題かも知れません。なぜなら、主導権不足は“契約締結力”を低下させるばかりではなく、“契約後に経営者に振り回される”要因になり得るからです。
  主導権を握るテクニックは、専門見識の次に大切にすべきものなのかも知れません。

             
   
    【01】 主導権を握る?
   
        士業先生方には、しばしば『企業経営者のレベルは低い』というお話を伺いますが、企業経営者からはしばしば『士業先生は経営を知らない』と指摘されます。お互いがそう感じているなら、1対1で良好な関係を築くことは、親しい仲にでもならない限り、難しいでしょう。
  しかし、こんな“相互批判”関係を破れるのは、経営者ではなく、先生方の方なのかも知れません。その意味では、すでに“一般論”として、士業先生は経営者個人に対し、“十分に主導権がある”ポジションに立っているはずなのです。ただ『そんな実感もなく、経営者に振り回されている』としたら、“立ち位置”自体を見直す必要があるかも知れません。
       
   
    【02】 経営者との関係形成の“3つの場”
   
        経営者と士業先生が“交わる”べき立ち位置には、大きく分けて3つあります。その第1は、“業績管理”や“組織運営”など、先生方がご専門とする分野の“必要性”を経営者自身が感じる場です。簡単に言うなら、それは“①動機付けの場”だと言えるかも知れません。
  第2は、まさに先生方の“②専門見識の場”です。もちろん、業績管理や人事制度などの特殊な見識でなくても、たとえば“税制”や“社会保険制度”などの“見識”も、広く“②専門見識の場”に含まれるはずです。 更に、第3は、経営者が先生方の見識を自分の会社経営に“導入”する時、つまり“③実践の場”になると思います。
  そして、この3つの“場”を眺めてみて、まずはご自身ではなく、ご同業の先生方を思い切り“批判的”に見ていただきたいのです。行き過ぎるほど批判的な方が効果があります。
       
   
    【03】 士業先生は“第2の場”の話をし過ぎる?
   
        すると、『士業先生は“第2の場”の話ばかりしているなあ…』とお感じにはならないでしょうか。たとえば、企業経営者に“税制”の話をします。それは企業経営にも重要なことですが、経営者がいかに重要かに気付く“①動機付けの場”が欠落し、その見識をどう自社に生かすかという“③実践の場”のイメージがわかなければ、企業経営者は“②専門見識の場”である“税制”に、興味も敬意も示さないでしょう。それは“残業規定”や“就業規則”の話でも同様です。
  『難しい話をしているけれど、だから何?』と経営者が感じる時、その経営者は『士業先生は経営を知らない(知識しかない)』と言いたくなるのでしょうし、せっかく語った“重要見識”に耳を貸さず、自分の狭い了見に閉じこもる経営者を見て、先生方は『なんて見識が浅いのだろう』と感じてしまうのかも知れません。
       
   
    【04】 経営者は“第2の場”には興味がない!
   
        しかし、世の中には大きく分けて、つまり明確な線で区切ることはできないけれども、傾向的な区分として、“専門志向者”と“実践志向者”がいます。専門見識の研究に興味がある人と、世間での実践に没頭する人がいるということです。もちろん、両方の傾向を同じように持つ人もいますが、多数派ではありません。
  つまり、実践志向者が多い経営者は、はなから“②専門見識の場”を自分の場だとは思っていない傾向さえあるということです。こう言ってよければ、法律や制度の話ばかりをする先生方は、“自分とは無関係な人”にしか見えないということです。
  ところが、その“無関係な人”が、突然“重要人物”になることがあります。それは“税務トラブル”や“資金ショートが起きた時”、あるいは“従業員トラブル”や“労災”などが起きた時です。
       
   
    【05】 経営者が自分の都合で“先生方”に興味を示す時
   
        その時、専門家を“起用”しなければならないという“①動機”が、経営者の頭の中を駆け巡ります。“①動機付けの場”、“②専門見識の場”、“③実践の場”の3つのうち、①と③を経営者が握るわけです。そうなると、先生方に“主導権”を握るチャンスはほとんどありません。
  そもそも“実践志向者”は、自分以上に見識のある人たちを上手に使う技を心得ています。言い過ぎですが、自分が無知な分野で知恵のある人をコントロールする方法を知っているということです。なぜなら、それが最も重要な“実践技術”の一つだからです。
  実践の人である企業経営者が、海千山千の“盗賊”のように見えてしまうのは、そんな時ではないでしょうか。しかし、“盗賊性”は普通、“実践志向”だけでは生まれません。そこに“動機”が加わらなければ、“実践”は静かで力強い“健全な技術”に他ならないからです。
       
   
    【06】 ポイントは“①動機付けの場”のコントロール
   
        そのため、もし先生方が“①動機付けの場”を、ある程度でもコントロールできれば、経営者の“盗賊性”の暴走を回避できるばかりでなく、経営者との1対1の関係で、主導権を握りやすくなるはずなのです。
  “②専門見識の場”の中で、いくら“見識の内容”を教えようとしても、経営者が自分勝手な“動機”を持つと、手がつけられなくなる恐れが強いのです。それでも、まったく無視されるよりはましかも知れませんが…。
  いずれにせよ、“専門見識”はタイミングよく語らなければ、語ることが逆効果になるわけです。常に“専門見識に興味を示す専門志向”人と、“実践人”は大きく違うことを、行き過ぎだと思うくらいに意識しなければならないのです。 ある経営者は『士業先生は仲間内で飲み会をしたりすると、法律の解釈や制度の話ばかりしている。面白くもないし、役に立つとも思えない』と言っていました。
  経営者がそんな状態のままでいる時、貴重な専門見識を語るべきでしょうか?
       
   
    【07】 “適切な動機”は“主導権”ばかりではなく“成果”の素でもある!
   
        それが“主導権”の素になるから、という理由だけではなく、おそらく“先生”と呼ばれる職業が負う最大の責務は、専門見識がない人に“正しい動機”、“適切な動機”を提供することではないかと思うことがあります。
  専門家の中で、最も“労務提供型”の仕事を受け持っている医者でさえ、患者から“直したいという動機”を引き出せなければ職務を全うできません。動機付けに失敗すれば、名医と呼ばれないばかりではなく、必要以上の手間をかけなければならなくなるからです。
  経営者の“実践”を指導する部分が多い士業は、なおさら…、なのではないかと思います。つまり、“①動機付けの場”を先生方のペース(主導)で充実させることは、経営者との1対1の関係で主導権を握るだけではなく、病気の患者が治りやすくなるという意味で、患者、つまり経営者のためにもなると言えそうなのです。
       
   
    【08】 では“適切な動機”をどう形成すればよいのか…
   
        では、どのように“適切な動機の場”を形成すればよいのでしょうか。その具体策については、経営者を動機づける経営セミナーの作り方や経営基礎講座の中で、かなり“体系的”なお話をさせていただいています。
  しかし、この“小さなヒント”の次回号では、“体系的な話”ではなく、“小さな意識の徹底”で“適切な動機の場”の創造を促進するポイントを、ご紹介したいと思います。

     
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