社会保険労務士、社労士、マーケティング、コンサルティング、ヒント集
 
 
 
 
 
 
 
 
 

社会保険労務士事務所、社労士事務所、マーケティング、コンサルティング、小さなヒント

株式会社エフ・ビー・サイブ研究所
             
【Vol.119】働き方改革:従業員ではなく“経営”の目から見た働き方改革
             

 確かに“働き方改革”は、経営者の気分を重くするものかも知れません。そうでなくとも“面倒”を感じないではいられないでしょう。しかし、それは“現代社会が抱える問題”を、真正面から捉えようとしていないからかも知れません。
 現代社会を直視するなら、働き方改革は、むしろ“今後の組織経営の重要なヒント”であり、それなしには企業活力の再興はあり得ないようにも見えて来るのです。経営者がそんな“気分”になれた時、社会保険労務士事務所の仕事は、どんなに勧めやすく、あるいは進めやすくなるでしょうか。
 働き方改革の“背後”にあるものに目を向ける時、企業にも先生方にも、大きな可能性が見え始めると申し上げたく思います。

             
   
    【01】現代社会が抱える最大の課題を直視する
   
       現代社会を一口に捉えれば、少子高齢化社会であり、結果として“人口減少”に直面した状況にあります。65歳以上の高齢者を含めず、以前のままの生産人口(15歳〜64歳)の数は、統計を見るまでもなく、総人口の減少率以上に減って行っています。それは、2000年代初頭から、既に分かっていたことです。
 今、そんな生産人口減少化という現実の前では、私たちは大きな岐路に立たされることになります。その岐路の一方は当然、人口減少とともに経済が衰退するのを甘受する道です。それは、GDPが、いつの間にか、中国の3分の1になってしまったというような抽象的な認識ではなく、私たちの事業や仕事が成り立ちゆかなくなり、これまで獲得した豊かさの多くを諦めざるを得ない現実を、正面から意識することを意味します。
       
   
    【02】少子高齢化を気象変動がマイナス方向に後押し
   
       そんな“経済的な衰退化”傾向を、更に“自然災害”が後押ししてしまうのが現代の特徴でもあります。もちろん、それは偶然の所産ではなく、これまでの経済活動が、その他の要因と合わせた形でもたらした“気象変動”によるものでしょう。あるいは“適切な処置”を怠って来たことの所産だと言えるかも知れません。しかも“収まる気配”はありません。
 たとえ、目立った災害はなくとも、今まで獲れた魚が獲れず、今まで育った作物が枯れる時、私たちは食糧源さえ失うことになるかも知れません。『国産がダメなら輸入すれば良い』とうそぶいてみても、世界中に広がる自然災害の中では、少しずつ“食物は輸入できない程に高騰して行く”かも知れないのです。
 そんな自然の危機がないなら、『日本はかつて人口過剰だった。だから人口減少で、好ましいバランスに戻れるだろう』等と言っていられたかも知れません。しかし、自然の猛威と、環境規制や作物の不作等から派生する国際間競争(紛争)の前では、経済力を維持強化するという《第二の選択肢》を、選ばざるを得ない状況に追い込まれることは必至なのです。
       
   
    【03】事業人あるいはビジネスマンにできること
   
       その意味で、今、私たちは事業人、あるいはビジネスマンとして立ち上がらなければならない位置に来ているのでしょう。『平成から令和に生きた人たちが、日本を壊滅させた』という歴史が残らないためにも、高齢化や人口の減少をカバーしながら、事業を再活性化して行く必要があるのです。
 そして、そのための重要な解決策の一つが“多様な人材を事業に起用する”という、ダイバーシティー志向の経営だとは言えないでしょうか。働き手が減少する中では、システムやロボットばかりではなく、今まで“労働力”を十分に発揮していなかった層を、企業が積極的に取り入れて行くしか、方法はないとも言えるからです。
       
   
    【04】企業活動に関わる陣容強化以外に企業生き残りの道はない
   
       その“新規取り入れ人材対象”が、働ける高齢者であり、女性であり、外国人なのでしょう。もっと細分化するなら、子育て期の女性や、超高齢者を介護する高齢者の職場復帰をも考えるべきかも知れません。
更には、職場に復帰できないなら、テレワークの体制を整えて、在宅のまま、企業の価値生産活動に関わる人を増やそうではないかという発想も重要になるのです。
あるいは、それ以前に、あまりに大き過ぎる課題の前で、人材が働き過ぎによって心身を壊し、結果として労働力を減らしてしまうというマイナス自体を避ける必要も出て来るのです。そのためには確かに、対立を前提とした労使関係ではなく、労使が互いに互いを“守り合う”ような、仕組み作りも急務になるでしょう。
       
   
    【05】働き方改革自体が完全か不完全かの視点を超える現実
   
       そんな風に現実を捉えてみると、働き方改革が登場せざるを得なかった事情が浮き彫りになります。そして、その改革制度自体が、どんなに不完全なものでも、『これをきっかけに、私たちの経済社会を再び活性化しようではないか』という声も、確かに聞こえて来るのです。
 昭和の敗戦の後、私たちの経済は、“護送船団方式”という、それ自体に問題を内在したままの経済成長方式をベースに、世界一目前の経済大国にまで、奇跡的な成長を遂げました。今、世界で、どの国も経験していない高齢化と人口減少の中で、再び“前向き”になるべき時が来ているのかも知れません。
 歴史を振り返るなら、どんなに制度や方式自体に“問題”があっても、それに取り組む“現場”の姿勢次第で、経済活力は取り戻せるとも言えそうです。
       
   
    【06】優秀な軍師はまず“兵を養う”のだから…
   
       ただ、企業経営者は、そんな意識で“働き方改革”を捉え得ているでしょうか。それとも、改革への取り組みを厄介視したり無視したりしたままでしょうか。もし後者なら、企業経営者に『働き方改革の自社事業への活かし方』を提起すべきだと感じるようになりました。
 働き方改革に関わる諸対応がもたらす“厄介”から逃げても、もっと大きな社会的厄介が、企業経営を襲うのは、時間の問題だからです。
 昔の軍師が、戦い抜くために、まず“兵を養った”ように、今、経営者は“可能な限り良質な労働力を組織に吸収しながら組織力を高める努力”に取り組む必要があるのです。
       
   
    【07】兼業者でも“戦力”になり得る?
   
       それは、これまでのような、採用機会での“優秀な人材の争奪戦”に留まるものではありません。たとえば、優秀でパワフルなのに、“自分の市場”を失いつつある独立事業者に、兼業を認めながらも、自社陣営に加わることを勧めるような、大胆な発想が不可欠になるのです。
 パワーのない人材をフルタイムで雇うより、力のある兼業者の活用の方が、業績獲得上プラスかも知れません。働き方改革が提示する方向性には、机上の空論が多いとしても、今後の経営を考えるヒント探しには苦労しないかも知れません。
     
   
    【08】働き方改革は企業の“組織マネジメント(業績獲得)力”改革
   
       しかも、働き方改革が、単に社内の制度や規則の“書き換え”課題ではなく、経営の抜本的な変革に関わる課題だと認知されるなら、社会保険労務士事務所の先生方を、振り回すかのような経営者は激減するはずです。
 まずは当面の対応、つまり、有給休暇の取得義務や時間外労働の上限規制、あるいは同一労働同一賃金に“対応”し、“兵を養う基礎”を確立するために、社会保険労務士先生方の見識と実務力は“宝”のようなものだからです。高く飛ぶためには、まず足元を固めなければなりません。
 それは企業規模や業種、あるいは経営者の年齢には無関係の“普遍的原則”でしょう。
     
   
    【09】社会保険労務士事務所ビジネスを更に一段引き上げる好機でもある
   
       しかも、企業活力を向上するためには、働き方改革自体が求めているように、制度や規則という形式上の変更に留まらず、それを実行する組織マネジメントが欠かせません。人事労務も業績管理のように、経営の中枢課題になるべきテーマなのです。
と言うよりも、人事労務管理と業績管理の両輪が揃わないと、何もできないまま衰退を強いられる企業が急増して行く懸念が強いのです。そして、人事労務が制度や規則の実務に留まらず、その実践方法まで考えるべき経営課題だという認識が、経営者層に浸透するなら、先生方がご提案されるスポット契約のみならず、顧問契約の意味合いや位置付けも、大きく変わって来るはずなのです。
 それは、社会保険労務士事務所ビジネスにとっても、更に一段ステップを上がる好機になり得るでしょう。
 では、今、何をどうすべきかのでしょうか。言葉を並べるだけでは無責任なので、参考にしていただけるような、企業向けセミナーにも役員会研修にも、あるいは経営者個人へのプレゼンにも使える“働き方改革への動機付け”ツールを作成しています。
     
   
    【10】社会保険労務士事務所の先生からの辛抱強い働きかけが不可欠
   
       もちろん、先生方の今後のご活動に、このツールが必須であるわけではありませんが、今、経営者が前向きに社会変動と働き方改革に取り組むためには、先生方からの“辛抱強い”働き掛けで、経営者意識を変えて行くことは、様々な意味で、非常に重要になっていると思います。
 それは、ある種の社会貢献の意味でも重要ですが、企業の生き残りや社会保険労務士事務所の先生方のビジネスにも、好ましい結果を残すことが期待されるからです。国の政策に批判的な先生方も、ぜひ、“肯定できる部分”からだけでも、企業経営者への働きかけを強めていただきたいと願ってやみません。
 私たちの先人は、何度も危機を乗り越えながら、経済的にも成長して来ました。今度は、今、ここにいる私たちの番だと捉えるべきでしょう。
       
       
   
◆いいヒントサイト事務局よりお知らせ

働き方改革に経営視点からどう取り組むべきかを《9つの指針》にして伝えるプレゼンツール教材をご用意しています。最初に取り組み指針を共有することで、契約⇒個別支援企画⇒実践支援が、よりスムーズに進む効果が期待できます。

◇《働き方改革》を切り口にした顧問契約・スポット契約促進ツールキット

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